- 原子爆弾が広島に投下されて66年が経過しました。被爆者は、平均年齢が77歳を超え、今なお放射線障害に苦しみ、不安な毎日をおくっています。そのような状況にあっても、被爆者は「自分たちの地獄の苦しみを他の誰にも味あわせたくない」と被爆の実相を語り続けてきました。その声は、多くの国々や市民社会に影響を与え、今まさに「核兵器のない世界」へ向けた潮流が出現しています。
- しかし、核保有国の度重なる臨界前核実験や新たな核開発など世界の流れに逆行する動きもあり、核兵器廃絶への道のりは容易ではありません。
- そのような中、広島市長が会長をつとめる平和市長会議には、10月1日現在で、151カ国・地域の5,020都市が加盟しており、2020年までの核兵器廃絶をめざした取り組みが進められています。 また、平和市長会議の呼びかけで始まった「CANT(都市を攻撃目標にするな)署名」には、昨年5月までに102万筆余が集まり、ニューヨークの国連本部に提出されました。その署名は国連本部のロビーに常設展示されています。そして現在は、200万筆をめざし「核兵器禁止条約」の実現を求める新たな署名活動に取り組んでおり、その活動は全国に広がっています。/li>
- 「核兵器禁止条約」は、現在、国際社会の場で大きな声になりつつあります。NPT再検討会議の最終文書では「核兵器禁止条約」について初めて言及がなされ、画期的でした。さらには同年7月と11月にそれぞれ広島で開催された「2020核廃絶広島会議」と「ノーベル平和受賞者世界サミット」の中でも「核兵器禁止条約」の重要性が議論されました。
- 今から15年前の1996年、国際司法裁判所は、核兵器のもつ非人道性から、「核兵器の威嚇・使用は一般的に国際法に違反する」と勧告的意見を出しました。人々を大量無差別に殺傷し長期間にわたって苦しみを強いる核兵器は、その非人道性と違法性から、人類と共存できない「絶対悪」です。にもかかわらず、地球上には今なお約2万1000発の核弾頭が存在しています。
- また、本年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故は、「いったん大気中に放出された放射性物質は科学の力では制御が困難であり、地域被害は長期間に及ぶ」ということを改めて私たちに警告しました。
- 私たちは、この間、市民レベルでの平和行進や被爆の実相の継承、平和学習のための親子の集い、署名など多様な活動を展開し、核兵器廃絶を訴えてきました。核兵器がもつ非人道性と違法性、さらには「核テロ」の脅威と決別するためには核兵器をゼロにする以外に道はありません。
- そのためには、多様な団体や市民が、思想信条の違いを超え、力を寄せ合うことが重要です。そしてそこに蓄積されたエネルギーはやがては国際社会を動かし、「戦争も核兵器もない平和な世界」を実現することにつながります。
- 以上のことを踏まえ、本日、集いの参加者は、次世代への責任として次のことを宣言します。
1)私たちは、人間の尊厳を土台に、思想信条の違いを超え連帯します。
2)私たちは、核兵器廃絶に向け、被爆証言や署名など多様な活動を展開します。
3)私たちは、「核兵器禁止条約」の締結に向け、国内外のNGOと連携します。
4)私たちは、2020年までの核兵器廃絶をめざす「2020ビジョン」に賛同し、平和市長会議加盟自治体と連帯し行動します。
2011年(平成23年)10月28日
「戦争も核兵器もない平和な世界を」市民の集い |